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女の子は03年2月半ばの注射を最後に、酵素補充療法をやめた。

入院して1ヶ月後に酵素補充療法の名残がなくなった時点で、骨髄液を約250m採取した。 そこから血液幹細胞を分離し、レトロウイルスベクターでADA遺伝子を組みこんだ幹細胞を、点滴で体内にもどしたのが12月下旬である。
取材時は投与後6週目だったが、「イタリアで効果が出たお子さんは、細胞をもどして約3ヵ月でリンパ球数がかなり増えています。 遺伝子を組みこんだ細胞がからだの中ではたらいてくれるには、やはり3ヶ月くらい待たねばならないでしょう」と、S山教授。
女の子は、酵素をやめて約1ヶ月後に肝臓障害が少し出て、吐き気と倦怠感のためにベッドに寝たきりの状態になった。 食事もほとんど食べられない。
酵素を注射すればおそらく前の状態にもどすことはできるが、治療効果はうすらいでしまう。 「慎重に観察をして我慢していただいていましたら、遺伝子を導入後3週目ぐらいから少しずつ吐き気も消えて肝機能もよくなり、今週はほぼ正常値にもどりました。
食欲もかなり出て元気になってきました」という。 まだリンパ球数は少なく、100〜200のあいだだが、「観察をしながら、場合によっては酵素を入れなければいけない時期というのは、この患者さんについては過ぎました。
あとは、よさそうにみえるのが遺伝子治療の効果かどうかをみきわめないと。 望みはありそうです」。

検査の結果、患者にもどした血液幹細胞の約50%にADA遺伝子が入ったことがわかった。 最初の遺伝子治療に比べると、遺伝子を入れる効率は10倍も上がった。
しかも、導入した相手は寿命のあるリンパ球ではなく、いろいろな血液細胞を生みだす幹細胞である。 また、投与した細胞の酵素活性は約300単位だった。
先に書いたように、正常の人は50〜500単位のあいだなので、かなり高いといえる。 「ADA遺伝子が十分はたらいている状況で体内にもどっていったので、あとはもともとの血液幹細胞にまじってどれくらい、子どもを産みつづけることができるかに治療の成否はかかっています」と、S山教授は期待する。
女の子の状況が一段落した時点で、最初に遺伝子治療をした男の子(13歳)が入院した。 同じように酵素補充療法をやめてから骨髄液を約700唾採取し、04年2月2日に遺伝子を組みこんだ幹細胞をもどした。
慎重に観察しているところである。

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